Oral Physician育成セミナーは、科学に立脚し予防をベースにした新しい歯科医療を展開できる歯科医師および医療スタッフを育成するために立ち上げられました。それは多くの歯科医師が健康保険制度に感化され、何を根拠に診療するべきか混迷している状況を脱却することも意図していました。つまり、歯科医師が本来の歯科医師としての哲学を持ち診療するために、Oral Physician育成セミナーは企画され存在しているのです。幸い、これまで多くの歯科医師や歯科衛生士に参加していただき、日本中に「健康な口腔を守る」という哲学をもつ歯科診療所が増えていることを大変嬉しく思っています。
Oral Physician育成セミナーで提唱しているメディカルトリートメントモデル(MTM)の実践は、診療所の土台をしっかりと安定させるためにはとても有効です。しかし、診療所を訪れる多くの患者さんに真の利益を提供するためには、歯周外科治療やインプラントも含めた修復補綴処置などにおいても、最新の科学に裏打ちされた根拠と一定レベル以上の技量を備えていることが必要です。こういった知識や技術そして考え方を修得する姿勢が、Oral Physician診療所として価値を高めていくことになります。ところが日本での現実は、多くの歯科医師が保険医療を基準として、歯周治療や修復補綴をなんとか糊塗することが日常的になっています。このような希望が持てない状況を看過することはできません。私はOral Physician診療所としての哲学を共有し、一定以上のMTMの実践が行われている診療所を対象として、真のオーラルフィジシャン診療所になっていただくために、多くの国内外の講師による研修セミナーを企画、運営してきました。さらにその一環として、Oral Physician診療所の価値を高めるために新たにPHIJが誕生しました。
今回のPHIJのプログラムは、日吉歯科診療所のこれまでの活動に対して理解を示し、賛同して下さった元米国歯周病学会会長で米国歯周病専門医の Michael McGuire先生とクレイトン大学の歯周病学教授宮本貴成先生によって実施され、参加者に対し「GPがおこなうべき再生療法およびインプラント」をテーマに、その実践のための知識、技術、そして考え方を系統的に学んでいただくことを主たる目的としています。McGuire先生と私は歯科医師としての立場(GPと専門医)や国籍は異なりますが、「歯科医療は本来健康を維持するための医療である」とする哲学を共有しています。患者さんの健康を守るために日々臨床を行なわれているOralPhysicianの先生方には、本プログラムに参加しその成果を地域の歯科医療に反映できるような実力を培っていただきたいと思っています。
日吉歯科診療所理事長 熊谷崇