2015 オマハ カダバーコース

活動報告

『2015年度 ノートン教授によるインプラント治療のための臨床解剖学実習』を終えて

岩永譲(久留米大学医学部解剖学講座 肉眼・臨床解剖部門 助教)

解剖学と言えば、『外頚動脈の終枝の一つである顎動脈から分枝する下歯槽動脈が・・・』といった系統解剖学が思い出され、いくら教科書を読んでもなかなか理解ができなかったことを今でも懐かしく思い出します。しかしその反面、実際の臨床現場に一旦足を踏み入れると「いかに解剖学が重要か」ということを毎日のように痛感するようになりました。 今回参加した臨床解剖学実習(講義も含む)ではネッター頭頚部・口腔顎顔面の臨床解剖学アトラス(医歯薬出版)の著者であるCreighton大学のNorton教授はもちろんのこと、歯周病科のMiyamoto教授、放射線科のBenn教授、口腔外科のBlaha教授にも直接ご指導いただくことができました。頭頸部解剖を軸に、歯周治療の基礎、インプラント治療におけるCBCTの読影、インプラント埋入や歯周外科などを実際に手ほどきしていただき、受講生としてこれ以上にない贅沢な環境での3日間を過ごすことができました。ただ単に解剖実習を行うだけでは、おそらく「切っただけ」「見ただけ」となってしまい、いわゆる「いい経験ができた」で完結してしまっていたと思います。しかし、事前の集中講義(実はここが一番感動)によりすっきりと頭の中を整理することができ、実習が終わった後も活きた知識として脳に定着していることを実感できました。個人的には特にCBCTの読影に感銘を受けました。CBCTでは、読影する前にイメージを持っていない(解剖を知らない)と仮に映っていても見えてこないようで、私自身も受講前後でCBCTの見え方が明らかに変わりました。またNorton教授が受講生の目の前で説明を織り交ぜながらdissectionをしていく姿はまるで、口腔の手術をさまざまな角度から解説付きで見ているかのようで、感動すら覚えました。 カダバー実習を含め、3日間のスケジュールはぎっしり詰まっていましたが、少人数制のため最終日には全ての受講生が以前から知っている者同士のように打ち解け合うことができ、疲労の中にも心地よい充実感を覚えることができました。 現在口腔外科医として臨床に、口腔解剖医として日々の研究・教育に携わる立場の人間として、このコースを受講して本当によかったと思うと同時に、専門分野にかかわらず多くの歯科医師が受講すべきコースだと確信しました。 最後に、アメリカ中部にあるネブラスカ州オマハ市という人口約40万人の小さな町で、充実した3日間の研修を共に過ごした仲間達にこの場を借りて感謝したいと思います。