2019ベーシックコース 第4回

先日、PHIJ2019ベーシックコース第4回が行われました。

一日目最初は、スペシャルゲストとして歯科衛生士のBecki Cole先生に講義をしていただきました。Becki先生はアメリカにてPHIJFounderである宮本貴成先生のオフィスで主任歯科衛生士として共に臨床に携わっており、歯科衛生士の本来の役割をプロフェッショナルに日々実践し、患者さんに提供しています。

講義の中では特に、患者さんの習慣を変えるための動機付けをするには、患者さんを知ることが重要であると強調されていました。例えば、問診をする際に主訴や全身疾患、既往歴などももちろん重要ですが、患者さんがどうなりたいかゴールを聞き出すことも大切であり、また例えば家族の話をすることで患者さん自身のことを深く知るきっかけになり、よりよい関係性を築けるのではないでしょうか。

患者さんに動機づけをし、習慣を変えていくということは大変なことだが、やりがいのあることだという事を改めて教えていただきました。

ランチョンミーティングではクロスフィールドの小林さんからスウェーデン生まれのバキュームアダプターであるエルゴフィンガーやKAIのコーティング替刃メスなどを紹介していただきました。特にKAIのコーティング替刃メスは、低摩擦コーティングにより切れ味が向上し、優れた切れ味が持続するということで今回の実習でも使用させていただきました。皆さんも是非一度使われてみて下さい!

PHIJ Co-Directorである岸本先生に歯周外科について講義していただきました。前回は非外科治療に関する講義がありましたが、ではなぜ歯周外科治療が必要なのでしょうか?それは、非外科治療であるSRPの治療の効果の限界や、解剖的な複雑性や経験値の違いの影響を外科治療でカバーできるのかどうか、また垂直性骨欠損や分岐部病変の有無による影響はどうなのかを考えることが重要です。

理論だけではなく歯周外科治療の目的と目標を明確にした上で、実際の外科処置の切開の種類、フラップの種類と特徴、デザイン、針と縫合糸の材料と縫合の方法などの原則から、歯周ポケットの分類と歯周外科の分類とそれぞれの方法、適応、利点、欠点など臨床的な手技の基礎、歯周治療後の創傷治癒の仕方まで幅広く教えていただきました。治癒形態によってその後のフォローアップの仕方も変わってくるので、これを覚えることも重要になります。また、歯周外科治療に伴う骨外科の原則を、骨整形と骨切除の違いを踏まえて教えていただき、生理学的な形態に修正する意義を理解することができました。さらには、術前術後及び手術当日の管理もクリティカルパスを用いてわかりやすく教えていただきました。

また、外科処置をする上で気をつけなければならない解剖学的構造も参考になったのではないでしょうか。

その後、関先生と武田先生による外科的及び非外科的歯周治療、修得した概念と未修得の概念に関する論文抄読 (Heitzmayfield and Land, Periodontology 2000, 62, 2013, 218-231) を行いました。これまでの歯周病学の概念の移り変わりから始まり、様々な非外科的治療の方法と臨床効果を細かい部分まで述べられていました。更に外科的デブライドメントと非外科的デブライドメントの臨床的治療効果や歯周初期治療後の治療介入の意思決定において基準となる臨界プロービングデプスまで及んでいました。膨大な情報量にも関わらず非常にわかりやすくまとめていただいていました。本当にお疲れ様でした!

二日目は歯冠長延長術について岸本先生に講義していただきました。

まずは、なぜ歯冠長延長術が必要なのかを原理原則に乗っ取り、生物学的幅径 (Supracrestal tissue attachment (Biological width)) を侵したらどうなるのか、歯冠歯根比、歯冠長延長術後の生存率の3つの点から様々な論文を基に解説していただきました。数値だけ覚えていた生物学的幅径も決まった数値でなく、個人差が大きい事もわかってきます。この原理原則を理解した上で、歯冠長延長術をフェルールエフェクト、術後の歯肉のリバウンド、最終補綴のタイミングに関して分かりやすく講義していただきました。

歯冠長延長術の講義の後は、審美的歯冠長延長術の実際のオペ動画をPHIJ Directorである築山鉄平先生と岸本先生に解説していただきました。CEJの確認の仕方や歯槽骨へのグルーブの入れ方、歯槽骨整形に関するコツなど、どうしても講義だけではイメージがつきにくい所も、一つ一つの手順をおって詳細に解説してもらうことでより深く理解できたことと思います。

そして、最後は豚の顎骨を用いて切開、剥離、縫合の実習を行いました。

臨床テクニックを米国歯周病専門医に直接教えてもらう機会は中々得られないものと思います。イメージがついた中で手を動かし、直接フィードバックして頂くことによって、貴重な経験となり大変有意義な時間になったのではないでしょうか。

今回の二日間を通して歯周外科治療を学びましたが、PHIJ2019ベーシックコースも半分が終わりました。様々なことを学び、早速臨床に導入されている医院も少なくないと思われますが、築山先生が言っていたように数値を当てはめるだけでなく、患者さんと向き合うことも重要です。論文の数字のみに振り回されずに、患者さんのそれぞれの治療反応、理解の深さを踏まえて日常臨床における歯周病治療に取り組んでいただけると幸いです。

第4回大変お疲れ様でした!

PHIJ運営スタッフ一同